情熱の薔薇


「情熱を持って」とか「熱意を持って」とか、そういう新入社員のときの研修で教わるような事をちゃんと体得できていないと、仕事ってのは単調にもなるし低い評価も食らいがちになるもんだなあ、と強く感じた年明けだった。



もちろん自分自身のことでもあり、他人を見て感じたことでもあり。



言葉をそのまま体現しようとしてもうまくいかない。
「情熱を持って」ってどういうことだ。
けど、10年目のプレイヤーになって感じるのは、それは「自信」だったり、「仕事への突っ込み方」だったり、似たような抽象的な言葉だが「必死さ」だったり、一方で「笑顔」だったり「興味」だったり。
そういうものの蓄積で備わった態度が「情熱を持って仕事をする」ってことなんだろうと。



大雪の中、結局車を置いて帰ることになってもわざわざ打ち合わせに足を運んでくれるお客さんがいた。
こんな状況でも来てくれたお客さんには何かプラスになるものを伝えたいと思った。
得るものを得て帰ってもらいたいと思った。
自然に語調にも力が入った。
「あの説明聞いたら、やっぱりいいもの使ってるなーって感じましたよ。
今更工法を変えたくないですね」
ありがたい。



「何故うちの会社を選んだかをまだ初期の段階で聞いてみるといい。
その要因の一つが君だったら、何かあった時に最後の砦になるのは君だし、周りは君を守ることを最優先にしなければならない。
それがチームだ」
そういう組織論を語ってくれた他部署の上司がいた。
背筋が凍りついた。



「それでは売却で進めるしかないですよね」と、お客さんに安易に結論を急がせる取引先の担当に苛立ちを感じた。
そうじゃねーだろうと。
そうじゃねーのは、お客さんの育った家の今後の選択肢を簡単に理詰めで整理するんじゃねーってこと。



「土地活用のスキームと掘り起こしなんて、研修やるほどでもないよな、お前が言って話してくりゃいいじゃん。
お前が一番詳しいよ」
そう言われて嫌でも作る資料に熱がこもる。
「お前明日地方に異動になっても来週には紹介情報とってくるだろ」



「自分の会社や住宅が好きかどうかってことは、会話をすればわかるよ。
この人から住宅を購入したいって感じるから」
そこまでの域に達しているかどうか。
まだまだわからない。



全部年が明けてからの会話だが、一つ一つが突き刺さる。