是空

今日お客さんに言われたことは、少なからず現在の住宅業界に癒着する古い体質の浮彫りであると感じました。


否、衣食住の「住」を司る職種がいわゆる日本経済を支える「産業」となったこと、つまり「営業」という価値観が加わった時点で、業界は破綻しているのかもしれません。
「家づくりはそんなもんじゃない」と。



しかしそれでも僕は住宅営業を続けます。
それはそこにものづくりの核となるものがあるはずだからです。
昔は隣近所に大工がいて、そのコミュニティの中での地位は行政と似たものがありました。
宮大工は神聖な職種でした。
誰からも尊敬される「匠」がいました。


今、住宅業界に尊敬や感謝は少なくなりつつあります。
皆さんはケータイを買って、売ってくれた販売員に心から感謝をすることがありますか?
仕事の原理は競争ではなく感謝です。
これは間違いない。
そして仕事の対価は仕事によってのみ得られるものです(これは僕の尊敬する不動産会社の役員の受け売りです)。
僕はたまたま出会った一担当員ではなく、この人が担当でよかったと思われる営業になりたい。


今日は打ち合わせが2件あって、2件ともお客さんを失望の底に叩き落としました。
1件目のお客さんはきつい。
ガンガン言いたいことを言う。
ただ、愛がある。
「かあさん、ちゃんとたろーさんに言わないとだめだって」



2件目のお客さんはつらい結末を迎えることになりそうだった。
「他のメーカーの営業と比べても話がわかる、いい担当に出会えたねって言ってたんです」


けどダメでした。
我々はお客さんの信頼を裏切ることになりました。


「もちろん営業って観点は、僕だって理解できますよ」


その言葉が痛かった。



今日お客さんに言われたことは、少なからず現在の住宅業界に癒着する古い体質の浮彫りであると感じました。



赤羽の串焼き屋のマスターが言いました。
「お前、営業ってのは心意気だぜ」


そのマスターは、二年ぶりに会いに行ったら、体調を崩していたようですっかり痩せていました。



今日は打ち合わせが終わったら、仕事を続けるにはしんどすぎて、先輩のオイチさんを誘って飲みました。


でまだ飲み足りなくて、家の近くのバーに入りました。


明後日は友達の誕生日。
ガラにもなく、プレゼントでも買おうかな。