辞める日の話とか愛社精神とかそういうことについて


32歳にもなったので、一年の抱負というか、最近の振り返りと今何に向かっているのかを書き留めておく。

ちょっと前になるが、年度が変わって異動をした。

やることは今までの延長で建築請負をやっていくんだけど、勤務先が東京駅になった。
企業の本社や金融機関の本部がある場所で、新しい部署を立ち上げのスタッフとして、ルートセールスの開拓から建築請負、受注完工引渡しまで、それこそワンストップでやれと。
なかなか会社も無理難題をふっかけてくるなあと思いつつ、正直マーケットの優良な地域に飛び出したことへの安堵もあった。
マーケットの良し悪しは不動産で言えばエリアの坪単価もその一つなんだけど、それ以上に「情報がいかに集まっているか」っていうのが今の自分には重要で、本来それは場所関係なく、まあ今よく言われるノマド的な観点でゴリゴリ開拓して
いけばいいんだけど、
なんせ一日24時間はみな平等で、且つきっちり限られているもんだから、アクセス・アプローチの便の良さは非常に助かる。
やはり本部には社内の情報は集まるが、この一年本当に外に向かって出て行く活動が不足していた。
まあ東京都内なんかどこにいたってあんまり変わらないのかもしれないけど、自分自身「選択と集中」を考えなければいけない時期にさしかかっていた。
そんなわけで東京駅。
家も近くなったし、皇居も近くなったし、なによりプレイヤーとして集中できる環境に置いてもらえたのが良かった(と思っている)。
もちろん、エリアや支店が違えば習慣も違うし、自分のマーケット開拓に100%集中するとは何なのかってのもまた考えながらなんだが、現時点での自分の感触はこん
なところ。
一年後「クソみたいな部署だ」なんて悪態つくことのないように(今までもそんなこと言ってないけどさ)、備忘録。

ところで最近「大企業を辞めました」的な自己表現が、一時の賞賛の嵐をくぐりぬけ、一周してなんだか批判の対象ともなっていることについて。

就職や転職は本人の自由だけど、どこまで立ち向かったのかっていうその人の人となりが、なんだか浮き彫りになるなあ、なんて。
あとは、仕事の内容にもよるのかなと。
当事者意識や自分の信念みたいなものが早いうちから見つけられるかどうかにもよるし、そんなの働いてみないとわかんないよね。


でも俺としてはよく自分のいた企業をやめたっておおっぴらに言えるもんなんだなあ、とそこを尊敬してしまいます。
転職した、新しい環境に変わる、そんなのは当たり前のように表現して問題ないんだけど(というかそれがないと近況報告にもならない)
「置いてきた場所を文頭に添えて話を始める」ってのにすごく違和感を感じるわけです。


なんというか、その企業はたまったもんじゃないなとか、そういうのもあるし、うーん。
「感謝してます」とかそんな言葉もちりばめられているけれど、何か嫌だよね。
別れた彼女やセックスした女性の話をするみたいでさ。絶対言えない。
それとは別か。


辻野晃一郎氏の著書「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」を読んでもわかるけど、企業と対峙するって、物凄く難しいことなんだと思う。
企業の歴史やブランドや社会的な責任を背負って積み重ねてきた「その企業」に対して、見切りをつけるのは良しとしても、「体験した」程度で達観したようなこと
言っちゃいかんよなあ、と思うわけです。
そんなつもりもないんだろうけど。
というより、もしかしたら読み手の問題で、企業を辞めたという企業の具体名と枕詞で感銘受けてる場合じゃないんじゃないかと。


ところで僕はフェイスブックなどで企業名や学歴なども全て出していますが、自分の会社での具体的な仕事内容を話すことはほとんどありません。
超絶仕事をしたとは言うけど。
理由としては感覚的なことなんだけど、それは時に会社のレベルを晒すことにもなるし、会社のイメージを作ることにもなるし、
企業の質とそこで働いている個人の質は、時として同質で、ブランドや歴史というパラメータで切り取ると時としてパラレルだと思うからです。


なんつーか、愛社精神というものなのか、そういうのは俺自身凄く強くて、だけどそれと終身雇用とは別だっていう感覚も頭の片隅にもあって、自分が何年経ってもこの会社にいるかどうかもわからないけど、
少なくとも今自分の会社が好きで、嫌いなところもたくさんあって、変えていきたい想いとか変わらない実感とか悔しい思いもいっぱいあるので、最終「この会社を辞めました」って言う日が来る時のことなんか全く考えずに、それこそ他の部署の人から「お前が進みたい方向がわからない」とか批判もされながら仕事をしてるのが今の状況。



そんなことを考えながら、自分自身は今何が出来るんだと、無力さも感じながらひた走ってるわけです。
初動を早く。
初動を早く。