静かな日々の階段を

俺の配慮の無さや無神経さや軽率さが全部まとめて押し寄せてきて、
結果一番大事な人を傷つけてしまった。


狂ったように後悔したが今更遅い。
たとえ傷が癒えても、傷跡は残るのだ。



そのくらい暴力的に傷つけてしまった。



仕事が全く手につかない。
傍から見れば毎日と変わらずに仕事をこなしているように見えるんだろうが、
生きた心地がしない。



何故俺はあんなことを・・・。


仕事はそんな時に限って繁忙期。
息つく暇が無い。
新規の打ち合せが立て込む。


奈良県で土地を探したいというイギリス人がいた。
彼のオフィスは日本文化を心底気にいっているのが伝わるような写真ばかりだった。
手伝おう。


コンサルタントを入れて適正な価値判断を委ねて建設を進めるお客さんがいた。
そもそもそのコンサルタント自体が適正なのかはわからないが、それでいいんだろう。
価値判断とはそういうもんだ。
手伝おう。



老朽アパートの建て替えを考えているお客さんがいた。
「いいとこ取りはしたくないんだが」といいつつ情報だけはほしがる。
土地の所有者は奥さんの父親。
奥さんの兄弟にもアパートの住人にもまだ計画を打ち明けていない。
さらに借地。
地主の承諾もまだ得られるかわからない。
何も始まっていないのに建築計画だけ進めようとする。
こういうパターンは九分九厘途中でもめる。
それでも他社は気にせずアプローチをかける。
だれも特をしない。
だからこそれを伝えたい。
手伝おう。



建築の定義をしなおし、可動領域を広げて行く。



仕事は仕事。
嫌なことがあろうがなかろうが、どんなコンディションでも走らなければならない。
それはわかっている。


でも、それじゃ解決しないんだ。



悩んではいない。
ひたすら後悔している。