「いつか王子駅で」を読んでいて、ところどころに出てくる競走馬の話。
俺が競馬を、それこそ「興味を持って」初めてテレビで観たのは1995年の宝塚記念だった。
とんでもない衝撃が襲う。
観てはいけないようなものを観た気がした。
賭けるとかそういうんじゃなく、純粋に競走馬のレースに魅力を感じ、その後重賞は欠かさずに観るようになる。
あの頃の引力はなんだったんだろう。
競走馬のドラマに吸い込まれ、人間のスポーツ選手さながらの「快進撃」や「復活劇」や、「引退」。
ディープインパクトが強いのは誰が見てもわかるし、名馬だし、そりゃ凱旋門賞のすごさだってわかる。
俺が単純に歳を取ったからだろうか。
周りが騒いでブームになるような競走馬より、自分が興味を持って観たレースで、勝てなくとも輝きを放つ競走馬の方が鮮烈な印象を残す。
ただ、それはやはり俺が興味を持っていたかどうかの問題なだけだ。
今俺が競馬に興味がない。
それだけだ。
1996年の秋の天皇賞の結末に、あの時の実況に、体の芯から痺れたあの頃とも違う。
重賞シーズンに突入する。