色々考えるところがあって、今家の近くのバー。
一日がうまく切り替えられないので、強制的に環境を変えて頭をリセットする。
一人暮らしの時は、家に帰り、着替えてコンビニに行っていた。
それで一日の仕事の頭のスイッチを切っていた。
今月は年度末ということもあり、とにかく慌ただしい。
今月は今月で仕事をするとして、考えるのは4月からのこと。
また大きく人事異動があるのだろう。
支店間の異動も、支店内の異動もあるだろう。
俺は支店内の異動があったとしても、どこでもいい。基本的にやることは変わらない。
4月からの新年度は、営業の集大成の一年にしようと思っている。
ネットワークの構築という面では、この支店に来て、ある程度の手応えを感じてきている。
この二年間で種をまいていた色々なネットワークが、実を結びつつある。
そこを目に見える成果に変えて行く為に。
今が一番大事な時期。
仕事のスキームも、テクニックも、スタンスも、色んな側面で手探りで進む時期は一つの区切りを迎えつつある。
もう新人じゃない。
一生懸命さで失敗を挽回できる立場でもない。
「勉強させて下さい」と言って通用する時期でもない。
ある程度のプロ意識を持たないと確実にお客さんに迷惑をかける。
そしてみんなに迷惑をかける。
困った時には自分の味方に会う。
昨日金融機関の担当と話していたとき。
銀行の応接室で、話題に出たのは「会社の存在意義」だった。
「銀行ってのはね、ストックの仕事なんだよ。
もちろん利益目標はある。
けどそれ以外にも、いわゆる基盤目標ってのがあるんだ。
地域に密着するってのは、ストックを増やすことなんだよ」
なるほど。
「僕、最近『華麗なる一族』の原作読んでるんですよ。
まだ中巻なんすけど、銀行って大変だなって」
「あれはね、もともと神戸銀行をモチーフにしてんだよ」
「『白い巨塔』もそうですが、山崎豊子は他次元のドロドロ好きですよね」
「一般的には理解できない悩みってのが、どんな仕事にもあるんだろうねえ」
「四月からはまた異動とかあるんすか?」
「おそらく今年はあるだろうね、大きいのが」
「うちもあるみたいです。
まあどこに異動してもやることは変わらないんですけど」
「銀行はサイクル短いからね、新しい人事体制になったらまず挨拶に行くよ」
春は出会いと別れの季節。
そんなことをぐるぐる考えていると、いつの間にかバーには客がまばらになっている。
女性スタッフに声をかけられる。
「今仕事帰りなんですか?」
今日はそうです。
ちょっとキリっとした、かっこいい女性だった。
俺と同い年くらいか、若干上か。
あるいは年下か。