拝啓、渋沢栄一殿

朝一番でお客さんとの打ち合わせ。
間取りのプレゼンをし、要望を確認し、意見をもらう。
とても不思議な雰囲気のお客さんだ。
ロードレーサーという共通の趣味の話で盛り上がる。


なんなんだろう。
本当に不思議な雰囲気の夫婦だ。
考えすぎなのか?


お客さんは満足して帰って行く。
明日は予定がつかないと言われていた見学会にも来るという。

けど何か違和感を感じる。


その後水道橋にて、東京都の職員対象の住宅相談会に出る。


一件相談を受けた。
奥さんの実家を建て替えるという。


この人も不思議だった。


というか、品のない肉食動物に囲まれた何も知らない草食動物みたいな雰囲気。
少し耐えがたかった。



最近少し自分のスタンスが変わったのは、部署の部長の言う、「お客さんの為を考えて動いているか」という意識。


それでも俺は、家を建てようとするお客さんに対して仕事として対応している部分が多々あり、それはそれで大事なんだろうけど悩む。


よく「建築はお客さんとの戦いだ」とか「お客さんの言葉にならない思いを形にするのが建築だ」とか言われたりするけど、そういうイメージ映像みたいな言葉の言い回しで片付けられても困るわけです。
現実はもっとドロドロしてるし、純粋な気持ちの周辺には量や効率、期日やノルマ、仕事の線引きや経営の行方など、色んな事情が取り巻いている。



最近金融機関の人と仕事をしてて思うのは同様のジレンマを抱えながら仕事をしているんだな、ということ。


銀行の支店長が言った。

「前の支店長は銀行の中の人間で、営業経験がなかった。
俺は違う。
俺は営業畑でやってきた」


拝啓、渋沢栄一殿。